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第18話  ユウの現在

last update Huling Na-update: 2025-03-24 10:33:58

 グミダンジョンを攻略してから、少しの時間が経過した。

 あれから俺は港町に戻って、配達の依頼を中心に請け負っている。

 配達先もサザ村だけでなく、片道三、四日くらいのちょっと離れた町や村だ。

 白や赤グミ、それに野生動物くらいなら俺とクマ吾郎で撃退できるようになった。

 だから割の良い配達依頼を受けて、お金を貯めている最中である。

 当面の目標は装備をきちんと揃えることだ。

 そうそう、グミダンジョンで拾った靴を鑑定してみたら、『紙製の靴』と出た。

 紙製って。

 防具で紙とか、そんなことってある?

 防御力はもちろんゼロ。

 軽いのがウリだが、耐久力に難がある。

 いらないな、と思って売ろうとしたら、二束三文だった。

 駆け出しの俺がいらないと思う性能じゃ、誰も欲しがらないようだ。それはそうか。

 いつかまともな防具をダンジョンで拾ってみたいものだ。

 いくらかお金に余裕が出たおかげで、宿賃や食べ物に困ることはなくなった。

 とはいえクマ吾郎が大きい体にふさわしくよく食べるので、町の果物の木にはまだお世話になっている。

 クマ吾郎はリンゴとブドウが好きみたいだ。おいしそうに食べている。

 たまには肉も食べさせてやりたいから、そういうときは店で買っている。

 配達の傍ら、手頃なダンジョンを見つけたら攻略もしている。

 グミダンジョンは難易度が一番低かったようで、それ以外はなかなか苦戦中。

 ボスのいる階層に行ったはいいが、逃げ帰ったことも一度や二度じゃない。

 でも、生きてさえいれば何度でも挑戦ができる。

 俺の一番の願いは、この世界で生き抜くこと。

 死ななきゃかすり傷ってやつだ。

 だから前向きな気持ちで日々を過ごしていった。

 いつしか季節は夏から秋へ移り変わろうとしていた。

+++

 ユウの今のステータス

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    Huling Na-update : 2025-03-25
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    Huling Na-update : 2025-03-26
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    Huling Na-update : 2025-03-27
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    Huling Na-update : 2025-03-28
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    Huling Na-update : 2025-03-29
  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第24話 王都パルティア

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    Huling Na-update : 2025-03-30
  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第25話 王都パルティア

     そうして一日かけて王都見物をした。 王都は全体的に物価が高くて、服とマントを買った後だとちょいと財布が厳しい。 魔法屋に見たこともない巻物があって、欲しかったんだが諦めた。もっと金持ちになってからまた来よう。 宿屋もグレードの割にお値段が高い。 クマ吾郎と同室を頼んだんだが、断られてしまった。「動物は一律で家畜小屋です」 だってさ。 クマ吾郎の柔らかい腹毛にくるまって寝るのは最高なのに。 残念に思いながら家畜小屋をチェックしたら、清潔で手入れが行き届いていたのでまあいいかとなった。 クマ吾郎もふかふかの藁の寝床をゲットして嬉しそうだ。 むしろ俺もここでいいんじゃないかと思ったが、今度は「人間は部屋へどうぞ!」と言われてしまった。ちぇ。 人間用のベッドはきちんとマットレスの上にシーツが敷いてある。 これが昔愛用していた激安宿だと、藁、しかも湿って不潔な藁のベッドだったっけなあ。 あの頃に比べれば生活が安定して、貯金もそれなりにできて、いいことだらけだ。 でもまだまだ、一般的に見れば俺が貧乏なのに変わりはない。 もっと効率よく依頼をこなしたり、さらに難易度の高いダンジョンに挑戦するなど上を目指していきたい。 そんなことを思いながら眠りに落ちた。 翌朝、俺は再び冒険者ギルドへ行った。 他の町への配達依頼をチェックするためだ。 王都の観光は昨日一日で満喫した。 今の俺に何日も遊び歩く余裕はない。実際、宿賃だって割高で馬鹿にならないからな。 依頼をこなしてお金とメダルを貯める。もっと強くなる。 華やかな王都の空気に触れて、その思いを新たにした。「お、鉱山町への配達依頼がある。配達先は魔法使い見習いのジェイクか」 そういえば、道端で魔法書を読むのに失敗したボサボサ頭がそんな名前だったはずだ。 魔法修行中ということで、俺は彼に親近感を覚えた

    Huling Na-update : 2025-03-31
  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第26話 ただの配達、そのはずが

     およそ一週間ぶりの鉱山町は、どこか異様な空気に包まれていた。 ちょっと前までは活気に包まれた空気だったのに、今では表通りに人がほとんどいない。 やっと見つけた人影も、話しかけようと近づいたら逃げられてしまった。なんなんだ。 俺とクマ吾郎は戸惑ったが、何せ人を捕まえて事情を聞くこともできない。どうしようもない。 情報収集は諦めて、さっさと依頼を済ませてしまうことにする。「まあ仕方ない、先に配達を済ませてしまおう。あのボサボサ頭の家は、こっちだったっけ」「ガウ~」 依頼票に住所が書いてある。それに以前家まで送ってやったので、場所は覚えている。 そうしてたどり着いたボサボサ頭のアパートは、やはり様子がおかしかった。 古びた建物なんだけど、床がやたらにビチャビチャしている。雨が降った様子はないんだが……? しかも妙に粘っこい感じの水(?)だ。ぬめる床で転ばないように注意して進んだ。 配達先の部屋のドアを見つけて、ノックする。「こんにちはー。魔法書の配達に来ました」 返事はない。 俺は少し迷ったが、ドアノブに手をかけてみる。鍵はかかっておらず、ドアは開いた。 クマ吾郎に廊下で待っていてもらうことにして、中に入った。 室内は薄暗く、様子はよく見えない。「おーい、ボサ……じゃない、ジェイクさん? いるかい? 魔法書の配達だよ」 ぴちょん。 足元で水たまりを踏んだ。粘り気のある奇妙な感触だった。 少しずつ目が暗さに慣れてくる。 雑然とした部屋の中、誰かが床にうずくまっている。 その人影が身動きしたので、俺は駆け寄った。「おい、大丈夫か?」「ううっ……」 ひどい顔色だったが、そいつは確かに以前助けたボサボサ頭だった。 しかし彼は俺を見ると、絶望の表情で呻いた。「こっちに来ちゃ、駄目だ。に、逃げて…&he

    Huling Na-update : 2025-04-01

Pinakabagong kabanata

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第60話 特殊スキル

     表示されたステータスに妙なものを見つけて、俺は思わず叫んだ。「え! なんだこの『特殊スキル、統率(小)』って!」 メダルで習得した覚えはないし、それっぽい行動も特に覚えはない。 思わず声を上げると、エリーゼも不思議そうに言った。「でも、何となく味方がパワーアップしそうな名前ですね。統率」「確かに」 いつの間にこんなの生えてたんだろうか。 俺たちは首をかしげながらも、分からなかったので保留となった。 統率のインパクトがすごすぎて忘れていたが、ついに魅力が上がったのも地味に嬉しい。 エリーゼが教えてくれた歌唱スキルのおかげだと思う。もう音痴とは言わせない。 後日、王都で色々と調べた結果。 統率は多くの仲間を引き連れたリーダーに与えられるスキルだと判明した。 仲間の数と忠誠心によって会得する。 効果は仲間にさまざまなボーナスを与えるのだという。 俺は今年になって奴隷をたくさん買った。 奴隷というより仲間に近い感覚で彼らに接していた。 そりゃあそんなに甘やかすつもりはなかったけど、彼らはあくまで人間。仕事仲間だ。その思いは変わらない。 だからみんなも俺に心を開いてくれた……と思う。 それが忠誠心という形で表れて、統率スキルになったのか。 確認されている統率スキルの効果はさまざまだが、その中に「仲間の潜在能力を引き出し、成長を促す」というのがあった。 ここ最近のみんなの急激な成長はそのおかげだろう。 そういえば、俺自身の成長よりもクマ吾郎パワーアップのほうが上なんだよな。 統率スキルの影響だったのか。「そんなことってあるんだなぁ」 思わずつぶやくと、「ガウガウ!」 クマ吾郎が得意げな顔で鳴いた。 まるで「分かってたもんね!」とでも言いたそうだ。 そん

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第59話 特殊スキル

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  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第58話 お店

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  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第57話 お店

     店を出す場所はもう決めてある。 王都パルティアから街道を東に二日程度進んだ場所だ。 王都が近いせいで人の往来が活発。 加えて、その周辺はダンジョンがよく出現する。 王都に近くはあるが、徒歩二日の距離は至近ってほどでもない。 補給のための買い物したり戦利品を売り払うために王都まで行くにはちょっと面倒で、しかし人の行き来は多い。 なので冒険者の客の需要があると見込んだのだ。 幸いなことに周辺に店はない。絶妙な位置だった。 俺が作りたいのはダンジョン攻略に役立つアイテムや武具だ。 生産スキルの練習がてら余ったものを売るには、冒険者相手が一番いい。 中級以上の冒険者はそれなりにお金を持っている。金払いのいい客になってくれるだろう。「よし。建物はこんなもんだな」 夏の青空の下、できたての小屋の前で俺は腕組みをする。 王都の大工に頼んで建ててもらった家だ。 ほとんど小屋レベルの小ささだが、街道に面した部分が店になっている造りである。 ついに俺も家持ちになった。小さいながら我が家だ! 家はリビング・ダイニング、キッチンの他にベッドルームが一部屋、それから店のスペースしかない。 狭いのでベッドルームに三段ベッドを設置してみた。 はみ出た人はリビングで寝てもらおう。 男女の過ちとかは、まあ、奴隷契約があるので起こらんだろ。 六人と一匹の大所帯としては小さな家だ。 リビング・ダイニングもこじんまりしたもので、食卓テーブルを置いたらスペースに余裕がない。 狭すぎると文句を言われるかと思ったが、この小さな家は好評だった。「わたしたちのお家ができるなんて、素敵です!」 エリーゼが言えば、「いい家だ。雨風がしのげて、雨漏りもしない」 農業スキルのイザクが続ける。「わたくしどもにはもったいないですよ」「ここに住むの? 怖い人、来ない?」 錬金スキルのレナと少年のエミル

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第56話 新しい仲間

     断ろうと思ったが、その子供と目が合ってしまった。 年齢にそぐわない全てを諦めきったような目。ろくに食事をもらっていないと分かる、ガリガリの体。 髪の色は金髪だと思うんだが、薄汚れてぱさぱさなのでよく分からない有り様だった。 今日買った三人の奴隷は、拠点で生産しながら店番をしてもらう予定だ。 ダンジョンに連れて行くつもりはないので、危険はない。 それなら――「分かった。その子も買うよ」「毎度あり!」 奴隷商人のホクホクした顔がムカつくが、俺は黙って代金を支払った。 四人合わせて金貨六枚なり。 全財産の金貨二十二枚から出して、残りは十六枚。まだ大丈夫。 魔法契約で俺を主人に設定する。 農業スキル持ちのササナ人はイザク。 錬金術スキルの女性はレナ。 宝石加工のじいさんはバド。 少年はエミルという名前だった。「みんな、これからよろしくな」 声をかけても反応が鈍い。 エリーゼがとりなすように言った。「皆さん、ご主人様は優しい方です。どうか安心して仕事に励んでくださいね」 同じ奴隷のエリーゼの言葉は、少しは響いたようだ。 彼らはもそもそと挨拶をしてくれた。「反抗的な態度を取ったら、容赦なく鞭打ちをおすすめします。鞭も売っていますよ。銀貨二枚」 奴隷商人がそんなことを言っているが、無視だ無視。 俺は奴隷たちを引き連れて、市場を出た。 夜になるまでまだ間があったので、服屋に行って奴隷たちの服を買った。 奴隷制は嫌いだが、必要以上に甘やかすつもりはない。 これからしっかり働いてもらわないとな。 でも、不潔でボロボロの服は良くないだろ。 一年前までボロばっかり着ていた俺が言うんだ、間違いない。 次に宿屋の部屋を取った。 そこで桶と湯を借りて、それぞれ体を洗わせた。不潔は病気の元だからな。 さっぱりした奴隷たちに新しい服を着せる。 これ

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第55話 新しい仲間

     その奴隷を見てみると、浅黒い肌に大柄な体をしていた。骨太な体格だが今は痩せてしまっている。 パルティア人とちょっと毛色の違う感じがする。経歴書には「ササナ人」とある。 ササナ国は確か、パルティアの南にある小国だったな。 確かに農業スキル持ちの割に、お値段が安い。 農業は農奴として人気のスキル。普通ならば引く手あまたのはずだ。この値段では買えないと思う。 反抗的ということで割引中なのだろう。 あるいは、態度が良くなくてどこかの農園を追い出されたとか?「反抗的でも別にいいよ。仕事だけきちんとやってもらえれば、文句はない」 俺が言うと、ササナ人奴隷はちょっと目を見開いた。 まあ、仕事をサボってばかりだとか他の奴隷たちを虐めるだとか、問題行動があまりにひどかったらその時に対応を考えよう。 彼をキープしてもらって、次の人の吟味に入る。 生産スキルはたくさんがあるが、特に欲しいのは鍛冶と錬金術、宝石加工だ。 鍛冶は武具を作るスキル。 良い武具はダンジョン攻略の要だからな。 武具は店売りのものでは性能が物足りない。かといってダンジョンでドロップを狙うのはあまりに運任せすぎる。 ある程度の性能を狙っていく場合、鍛冶スキルは必須になるだろう。 で、錬金術はポーションを作るスキル。 混乱やマヒのデバフ系ポーション、それに回復系のポーションはダンジョン攻略に必須である。 宝石加工は護符やアクセサリーを作る。これも武具に準じる装備品だ。 しかも壊れやすいので半消耗品でもある。しっかり確保したい。 次点で魔法書製作。 魔法書は魔法屋で買うかダンジョンで拾うかしか入手経路がない。 で、魔法屋の品揃えもそのときによってまちまちなのだ。 安定してよく使う魔法の魔法書が手に入るなら助かる。 ただ、俺の得意とする魔法は初歩のマジックアローや戦歌、光の盾など。 これらは店でもダンジョンでも比較的入手

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第54話 新しい仲間

     そうして向かった奴隷市場は、相変わらず胸くそ悪い場所だった。 やっぱり俺は奴隷制が嫌いだよ。 だいたい、どうして人間を道具としてお金で売買するのが許されるのか。 この世界、この国は理不尽が多いが、奴隷制度はその最たるものだと思う。 鎖に繋がれ、手かせをはめられた奴隷たちが狭い檻に押し込められている。 向こうではオークションをやっているらしく、台の上に立った奴隷たちが自分の名前と特技を書いた札を持っていた。 オークションを後ろの方から見ていたら、奴隷商人に話しかけられた。 愛想のいい笑顔を浮かべているが、同時に警戒心も見て取れる。 エリーゼを買ったのはならず者の町だった。 あそこじゃ盗賊ギルドのバルトが付き添いに来てくれたおかげで、待遇が良かった。 俺はここじゃ見慣れない顔だろうからな。「お客さん、見ない顔ですね。今日はどんな商品をお探しで?」 人間を商品と言ってはばからない。俺はイラッとしたが表には出さずに言った。「生産スキルが得意な人を探している。戦闘はできなくてかまわない」「それでしたら……」 奴隷商人はオークションから離れて、建物の一つに俺たちを招き入れた。 何人かの奴隷が引き出されてくる。 比較的若い人からお年寄りまで、さまざまだった。 そうして紹介された奴隷は確かに生産スキルを持っていた。 いつぞやのならず者の町の奴隷商人よりも優秀だな。あいつ話聞いてなかったからな。「エリーゼ。どの人がいいと思う?」 エリーゼに聞くと、その場にいた全員が意外そうな顔をした。 え、なに?「お客様はわざわざ奴隷に意見を聞くのですか。これはお優しい」 奴隷商人が嫌味な口調で言う。 そういうことかよ。俺は言い返した。「これから買う奴隷は彼女の仕事仲間になるんだ。相性も大事だろ」 本当は奴隷だって人間だ、お金で売り買いするなど間違っていると言いた

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第53話 出店計画

     おっさんの言葉に俺は頭を巡らせた。 店を出す場所はよく考える必要がある。  まず、町の中はあまり良くない。すでに別の店があって競合してしまうから。 既にある店のほうが経営や仕入れのノウハウが豊富だろう。固定客もいるだろうし。 素人の俺がいきなり参入しても不利になってしまうと思う。 じゃあ店を出すなら町の外か。  街道沿いで人の多い場所や、ダンジョンがよく生まれる地域で冒険者相手に商売するのが良さそうだ。 もちろん、いい場所は既に店が出ている。だが現役冒険者である俺の視点から見れば、まだまだ穴場があるはずだ。「分かった。ありがとう」「おうよ。店をやるのか?」「まだ計画段階だけどね」 そんな話をして、俺は冒険者ギルドを出た。「どうでしたか?」 外で待機していたエリーゼが尋ねてくる。「王都で出店の許可をもらえるんだってさ。場所を考えながら王都まで行こうか」 王都にはこの国で一番大きな奴隷市場もある。人材の調達はそこですればいい。  この一年で配達やダンジョン探しをしてあちこち歩き回ったおかげで、この国の地理はだいたい把握している。  店を出すのにいい場所も、いくつか目星がついていた。 王都までの道すがら、手頃なダンジョンがあったのでいくつか攻略した。  寄り道をしたせいで少し時間を食ってしまい、王都に到着する頃には季節は初夏になっていた。 せっかくここまで来たので、直近の税金を納めておく。もう脱税騒ぎはごめんだからな。  今度はヴァリスに呼び出されることもない。  お役所に行って新規出店について案内を聞いた。  担当のお兄さんが言う。「店を出すには許可証が必要です。こちらの申請用紙に記入の上、お金を添付してください。金貨三枚です」「なかなかお高いですね」 金貨一枚あれば、一人暮

  • 転生したら最弱でした。理不尽から成り上がるサバイバル   第52話 生産スキル

    「違う違う、エリーゼが嫌いという意味じゃない! 奴隷制度そのものに反対ってことだよ。だってお金で人を売ったり買ったりするなんて間違っている。エリーゼだって子供の頃は開拓村の自由民だったんだよな。それが奴隷になってしまって、嫌だっただろう」「わたしが奴隷になったのは、親に売られたからです。わたしを売ったお金で家族は冬を生き延びました。仕方ないことです」 いきなりヘビィな話が飛び出した。 分かってはいたが、この世界で日本の常識も良心も通じやしない。 けれど割り切るのは嫌なんだ。 前世の話をして理解してもらえるわけはないので、説明に苦労した。 けれどエリーゼを嫌っているわけではないこと、奴隷制度そのものに疑問を持っていることは分かってくれたらしい。「ご主人様は優しいですね」 と微笑まれてしまった。「けど、この国に奴隷制があるのはどうしようもないですよ。だったら奴隷を買って、わたしみたいに優しくしてあげて、生きる力を育ててあげてください」 この国の人間で今なお奴隷身分の彼女の言葉には、説得力がある。「……分かった。ただ、養う人数が増えればお金や食べ物の問題も出る。少し考えさせてくれ」「はい」 エリーゼの言葉で、俺は業務拡大(?)の決心をした。 今の俺の実力は、上級冒険者といって差し支えない。 中堅クラスのダンジョン攻略は問題なく進めて、ボスから得た装備品も充実した。 クマ吾郎といっしょに効率よく戦闘を繰り返したため、短期間で強くなれたのだ。 当然実入りも良くなって、貯金はかなり増えた。 だが、何人もの奴隷を買って彼らを養うとなったらどうだろう。 生活費を稼ぐためにカツカツになってしまっては意味がない。 奴隷の皆さんにしっかり働いてもらって、さらに利益を上げなければ。 そのためにはどんな人材を買って、どんな仕事を割り当てるか熟考の必要があ

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